俗世に恋しちゃった故に。

今日は早番。

いつもなら苦手だけど、こう早番続きで

すっかり夏の気温だと慣れるのも早い。

 


そういえば私、昔から早起きは得意だった。

 


そんな明け方、急にふと

昔のことを思い出して

全てが懐かしいなという気持ちになった。

 


この夏が始まる少し前の

湿度が増して風が心地よく感じる

独特の雰囲気がそうさせるのかもしれない。

 


思い出せば、思い出すほど止まらない。

 

 

 

走馬燈というのは

こういうものなのだろうか

と少し不安と懐疑的になるものの

 


少しも嫌ではないことに

気がついてしまった。

 

 

 

あんなにも嫌で

今日の今日まで思い出すことさえせず、

忘却していた日々の記憶。

 


振り返ってみれば、あの日々も今に

続いてるのだと思えば、そんなに悪くはないのかもしれない。

 


私の人生で誇れることがあるとすれば

他の人よりも特異的に

自慢できることがあるとするならば、

 


私はこれまでの人生でたった一度も

死にたいと思ったことはない

ということだろう。

 


今だって生きていたいし

来年の今日を誰かと過ごしていたい。

 

 

 

アルバイトの女の子はこう言う、

死こそ救済、と。

 


私とは異なる死生観でとても驚いた。

 


野菜が嫌いで肉とチーズが好きな女の子。

 


ご両親には恵まれていて、裕福な家庭。

仲の良いまるで絵に描いたような暮らし。


それでも、そう思う人がいることに

とても驚きを隠せなかった。

 


世界はこんなにも面白くて

知らないことに溢れているのにな、


そんな彼女の夢はーーーーーーー。

 

ちゃんとなりたいものがあって

どうなりたいかも考えていて

ノウハウも知る術がある。

 

それでも彼女は彼女であるからし

その死生観は変わらないのである。

 

 

そんな私はというとーーーーーー


昔の私は、

 

将来の夢は?

という質問がすごく不得意だった。

 


何になりたいのか、

何にも人より秀でていない自分が

一体何にならなれるのだろうか。

 


ひたすらに、何者かになれるという

絶対的な自信がなかった。

 


でも、今はちゃんとたくさんある。

 


なれるかどうかは分からないけど。

少しばかり目指してもいいなと思えるものがある。

 


そしてなりたいものだけではなく

そのほかに

 

大きくて壮大な

人生の夢があるとするならば、

 


"誰よりも長生きして

「ああ、私は世界一の幸せな女だったなあ」


と思って自分の家族に穏やかに

看取られること"だ。

 


これはいつからなのか忘れてしまったけど

ずーっと思っていることのような気がする。

 


そんな平凡かつささやかな夢を持つ

私でも、思い出したくない日々があった。

 


まるでモノクロの世界にいるような日々。

 

気休めに
だれと話してもその世界は

何にも色付くことはなくて。

 


ただ楽しいフリをして

話をして笑っていた。

 

思い出すと人の優しさでさえ

悪意に感じられ信じられなくなってしまう。

 

ほんとうはそんなこと、なかったのに。

 

どんどん考えれば考えるほど、

思考は閉塞的になっていった。

 

 

そんな3年間を過ごしたせいか

わたしは自分の感情を押し殺すようになっていた。

 

元々そのような傾向というのはあったけれど、

自分でも気付かないほど悪化していたようだ。


「おかしいな。君は本当に嬉しいと思っているのかい」


「嬉しい時はもっと感情を出さなきゃ」


これは恩師からの言葉である。


当時たった3度だけ


その1度目でさえ、

歩く先生と並んで

小走りして掴んだ30秒だったというのに、

 

ほんの少ししか会っていないのに

そう言われてしまい、


自分の過去を見透かされているようで

面食らったし、どうしようもなく悲しくて

自分が情けなくて、しょうがなかった。

 

でも、不思議とうっかり涙を浮かべても


問われなかった、なぜなのかーーーーーー


その涙は いったいどこから来るの?


この状況なら誰だって聞くだろう、


でもそれを聞くという選択を敢えてしなかった

寛大な恩師について行こうと決めたのは

この日がきっかけだったし、

 

変わろうって思った。

本来の姿を取り戻したかった。

 

元来、わたしは楽しい事がセカイイチ

ずーっと人を笑わせていたい。

 

だから私も笑うんじゃなくて、

私も楽しくて嬉しいから笑っていたいんだ。

 

だから本当に沢山の人と出会って

考えて悩んで泣いて笑った。

 

あれから、9年。

恩師と出会って5年。

 


本当にホントに

多くの沢山の様々な人と出会って別れ、

今は1人で暮らしている。

 


寂しいときもある、

不安な夜もたくさんある。

 


悩みが尽きなくて、答えが出なくて

しんどいときもあったし

 

きっとこれからもあると思う。

 

 

それでも、もう大丈夫。

 

 

今日も世界は

風が心地よくて、花が美しくて

空は綺麗。

 


たとえ雨の日でも、

普段より少しは涼しくなるから

それでいい。

 


自然に囲まれているだけで

空があるだけで幸せ。

 


これは私の大好きな本の

冷蔵庫の音を聞くと安心する

という一文に

近しい気持ちなのかもしれない。

 

 

 

 


俗世に恋しちゃった故に。

 


生きているだけ、しあわせ。

 


でもこのフレーズを心から言えるのは

周りの人たちのおかげ。

 


関わってくれた人、

いつも支えてくれる人、

会えなくても、

たとえ考え方が異なったとしても、

 


ひとりの人として見てくれる人

 


そしてわたしの大好きな親友たち、

 


みんな皆に感謝の気持ちでいっぱいです。

 


いつもありがとう。

 

 

 

 


わたしの人生のテーマは

「人並みの幸せを感じる人生を送ること」

 

 

 

 


目立たず、ひっそりと

ただひたすらに 大事な人たちと

 


同じ空間に居られる喜びと

自然の穏やかさを知ることができればいい。

 


末長く。

 

 

 

そう願って止まないのは

 


愛しさが詰まっている

この俗世に恋しちゃった故に。